2007年10月16日

サパークラブ

歓楽街のキャバレーの仕事は 音楽的には楽だったけど 先輩や年長者に囲まれ ショーのバック演奏もあり ある程度の緊張を強いられる仕事でした

歓楽街ですから 仕事場の行き帰りには素性の怪しい人たちとも目が会うし ホステスさんや酔客との絡みも皆無ではありません

今回新たな職場は 繁華街の片隅にひっそりとある 某サパークラブの仕事でした
喧騒から離れた安らぎと 幾ばくかの寂寥感を感じる職場でした


サパークラブって何なんでしょう

一般的には 美味しい料理 美味しい酒 そして眺望もしくはロケーションを売り物にする高級店で 音楽とダンスフロアーがあるものを サパークラブと称していたようです

ほんの30年ほど以前の話ですが よくこういう営業形態が成り立ったものだと驚きを隠せません
当時の僕等のギャラは 4人編成で40万円程度だったと思いますが 今の世の中 よほど特殊な客層で無い限り 普通のバンドに40万円のギャラを払って コストパフォーマンスが成り立つとは とても思えません 旧き良き時代のお話です


サパークラブの仕事は 6時過ぎに店に入り 客の到着を待ちます

多いときには10組ほどの客が入りますが ゼロの日も皆無では有りません
僕たちは 店にいる約5時間の間 ステージに3回ほど上がりますが 残された時間 することも無く 音楽や映画の話に興じ ポーカーなどをしながら気楽な時間を過ごしました

有り余る時間は 色んな妄想話の温床にもなります
同じメンバーが雁首を揃え 毎日暇を持て余していますので 話題は尽きないのですが それでも自然とネタも尽きてきます

このバンドのリーダーは ピアノとボーカル担当でしたが 音楽的にも人間的にも素敵な人で 色んなネタ話を仕入れてきてくれました
しばらく同じメンバーで 宵の口とナイトと掛け持ちしていましたが ナイトの仕事の契約が終わり 流石に疲れますので 一旦ナイトの仕事はやめようということにしましたが リーダーは既に所帯を持っていましたので彼だけは別のナイトの口を見つけていました

彼が行き始めたナイトの店のドラマーは 僕等の一回りくらい上の年齢の方で それはもう 凄いドラマーだ

話の発端はこういうものでした

リーダー曰く 
「凄いドラマーで 音楽の造詣が深く 彼が放つフォーバースなどは とても難しくて数えられない」

それを聞いたメンバーの僕たちは 目を丸くして
「ふむふむ なるほど 本当に?」
紅顔を火照らして そのまだ見ぬ凄腕ドラマーの話に聞き入ります

どうも話を聞く範囲では その方は 僕がまだ足を踏み入れていないジャズの世界の巨人のお一人のようで 近々僕たちのバンドを見に わざわざ職場のサパークラブに来て戴けるとのこと

さあ いよいよジャズの入り口に 僕も到達したようです

だけど 嫌だな 恥ずかしいな
そんな上手い人が僕のプレイを見たらどう思うんだろう?

今考えれば 「どうとも思わない!!!」 こんなはっきりしていることが 当時二十歳の僕には理解が出来ない
素晴らしい目と耳で僕のギターを聴いた巨人は 笑うのか 蔑むのか いずれにしても 無事に済む筈が無い
僕だけではなく 他のメンバーも 同じ事を感じている様子で 怖いもの見たさの好奇心と 自分の能力に対する劣等感と羞恥心に苛まれる姿 自信満々のリーダーと 迷える子羊状態の3人のメンバー

巨人と対面する前の数日間は 何だかくっきりと色分けされた 微妙な数日間でありました

巨人との対面の話はまた後日・・・



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